2016年5月27日金曜日

中国文明史余話 ~戦国の秦編①~

秦は末期には天下統一へ突き進んでいく巨大国ですが、前期~中期はまだ後発国からの成長期でした。

その成長を支えた二人、

・商鞅(ショウオウ)
・魏冄(ギゼン)

商鞅は、未開発国に色濃かった神権的政治から、秦を法治国家に目覚めさせた才人です。日本の江藤新平とイメージが重なるべく、刑罰を受けたものからの怨みがひどく、最後は自らの法により無実の罪を着せられ、車裂の刑にあいます。

魏冄は、立ち回りが絶妙で、登るところまで登った達人です。中期に秦と斉を二大国と決定づけたのも彼です。その後も斉の力を合従によって削ぐ等と功績は絶大ですが、最後は新しい人材の台頭で身を引かざるを得ませんでした。


この二人にぴったりの「菜根譚」の条文を、

第137条
  位階勲章は高くなりすぎず、
  自分の得意とする処は、
  得意を出し切らぬが、危険を避ける方法




最後に、組織についての重要な著者の言葉、

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富強をはたしたという驕りは、人材の発掘をにぶらせ、観察眼をくもらせ、危機意識を払底し、改善の意欲を減退させた。人でも組織でも、現状に満足してそれを守ろうとした瞬間から衰頽がはじまると想ったほうがよい。それをまぬかれるためには、改善しつづけても達成しえない高みに志をおいておくことであり、志と目的とはちがうということを認識しておくべきである。

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