2016年5月7日土曜日

経済は、人類を幸せにできるのか? その⑤

5章のテーマも分かりやすかったです。
「グローバリゼーションは幸福をもたらしたか?」答えは当然です。



次の文章は誰しも一度は考えたことがあることではないでしょうか?世界通貨について。

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戦争直後、経済危機の続発を避けるための論争があった。ヨーロッパの通貨は、なんとその論争を引き継いでいるのだ。戦争が終結する寸前の1944年にブレトンウッズで開かれた会議の際、連合国は新たな国際通貨システムについて議論した。イギリス代表団を指揮した有名な経済学者ケインズは、貿易収支の不均衡は「対称的」でないという、きわめて重要な指摘をした。これは今日にもあてはまる。すなわち、債務国は債権国よりもはるかに脆弱なのだ。貿易赤字国が暮らしぶりを早急に改めることを余儀なくされても、貿易黒字国は、自国の経費を増やすための同等の努力を強いられることはない。このような非対称性は、不況の原因になる。つまり、一方が支出を増やさないのに他方が支出を減らせば、当然ながら全体の支出は減り、失業は増えてしまうのだ。
ケインズは、世界通貨の創設を提唱した。これを「バンコール」と呼ぼうと提案したケインズは、「野蛮人の聖遺物」である“金”を捨て去ろうと訴えた。国際通貨システムの円滑な機能を確保するには、自由に取引できる黄金の金属よりも、世界銀行が発行する通貨を基軸にしたほうが債務国の流動性に機敏に対応できる、とケインズは考えたのだ。

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この考えは結果的に世界通貨をもくろむ米ドルに却下されたようだ。しかしながら、この考えはヨーロッパのユーロに引き継がれた。しかしながら、現在お分かりの通り、失敗に終わっている。
それはなぜか?


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ヨーロッパ創設の先駆者たちは、経済的統合は政治的統合に至るはずだと考えていた。しかし、そうはならなかったのである。
ドイツ車やイタリア製の服を買っても、お互いに同じ共同体に属しているという感覚を促すことはまったくない。それどころか危機が激化すると、現実にはまったく逆のことが起こる。なぜなら、経済的な敵対関係は、国の敵対関係を激化させ、治癒したと思った古傷をこじ開けるからだ。

(中略)

ヨーロッパにおいて経済的統合が政治的統合へと進むと思われたことの誤りは、経済的繁栄は中国に民主主義をもたらすはずだと考えた人々が犯した誤りと同じものだ。ヨーロッパ市民としての感覚を育成したかったのなら、違った方法で取り組むべきだった。

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ここで、取り組みが言語、留学生、国際結婚等が具体策として上がっているが、もう一歩踏み込んで、ここに創価学会のような哲学の共通母体が必要だったと思う。創価学会の唱える地球民族主義意識こそこれを解決するものにはならないだろうか。精神の統一性こそ、経済よりも先んじて実施すべき要素だったのだ。




そして、もう一つ面白い箇所が、

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製造業の雇用に関するパラドックスの核心は、20世紀を通じて農業において起こった雇用の変化と同様に、製造業における雇用喪失の原因がその成功自体にあることだ。つまり、ある産業の生産性があまりにも急激に向上すると、その産業は消滅してしまう恐れがあるのだ。

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過去では、農業で失われた雇用は製造業が吸収した。同じ論証に従えば、製造業の雇用はサービス業が引き継げばよい。ところが、このような移行は社会的不安定の要因になるので、失業者に対する雇用斡旋や、最終需要の刺激など、積極的な経済政策が必要になる。

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後半のサービス業が受け皿になれない理由がよく分からないが、以前から危惧していたこと、つまり、効率性を求めるあまりに、機械に仕事を奪われた人間が実は今溢れているということだ。





最後に結び辺りの言葉を抜粋。

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市場機能だけでは、脆弱な者の社会復帰は果たされない。だからこそ、勝者が敗者に手を差し伸べるための補助的なメカニズムを整えることが社会の課題になったのだ。もしそれができないのなら、人々はグローバリゼーションを即座に拒否するだろう。

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科学は移ろいやすく、国を管理するのは、将来の危機を予見することよりも、国民の今日の不満を減らそうと焦る政府だ。人類学的な尺度で世界の将来を考察しなければ、われわれが責任感のある共同体として世界をきちんと管理することは、もう二度とないだろう。

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補助的なメカニズムこそ創価学会そのものが作り上げてきた相互支援組織である。ここに池田先生の卓抜した先見性がある。創価学会の精神性がホモエコノミクスに対抗して、道理にのっとり、世界の補助機構を担う時代が来る。きっと来る。


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