2016年5月12日木曜日

仏法と菜根譚 その⑤

今日は一度、「雅量を持つこと」のところで紹介した「菜根譚」の条文を再び。


第24条
  蝉や蛍は幼虫の時は汚いが、成虫になると風雅である。
  このように綺麗なものは汚いものの中、
  明るいものも暗いものの中より生まれる。




これは、煩悩即菩提といって、仏教のとりわけ法華経から解釈すると、煩悩の中に実は菩提(成仏)の因は入っているのであって、滅しさる必要はないことを説いています。切り離せるものではなく、うまく制御して成仏の因としていけるのです。

日蓮大聖人の御書の中にも、これと同じような例えがあり、興味深いですね。

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蓮はきよきもの泥よりいでたり、せんだんはかうばしき物大地よりをいたり、さくらはをもしろき物・木の中よりさきいづ
日蓮大聖人御書全集 十字御書 1492ページ
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暗い出来事や、嫌な人たちばかりに囲まれていると、見失いがちですが、その中だからこそ、明るい出来事や、真心が見えてくるのです。

泥の中で蓮が咲くように。南無妙法蓮華経の蓮華にはこの蓮の意味がこめられています。万人の胸中に、現在がどのような境涯であろうと仏となる因は秘められているのです。なんとも気持ちのいい表現ではないですか。

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