仏法をしらない人にとっては、気づかない人も多いのですが、心を暗ませているものがあるとはわかってもそれを取り除く術がありません。
日蓮大聖人は、まさしくこの点に焦点をあてられ、南無妙法蓮華経の実践行を元品の無明から法性へ転換させる方法として、確立されたのです。
元品の無明はきってもきりはなせない生命の状態の一つであり、元品の法性を現した仏の生命であっても、闘いは続いていることが示されています。
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「第六天の魔王・十軍のいくさを・をこして・法華経の行者と生死海の海中にして同居穢土を・とられじ・うばはんと・あらそう」
日蓮大聖人御書全集 辧殿尼御前御書 1224ページ
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十軍とは先に紹介した、十種の魔の働きをいいます。また諸天善神とよく言われる働きも、このように言われています。
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元品の法性は梵天・帝釈等と顕われ元品の無明は第六天の魔王と顕われたり」
日蓮大聖人御書全集 治病 大小権実違目 997ページ
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生命の状態如何で、環境がいかに変わるかを示されています。
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諸天善神といっても、一定の実体を持つものではなく、生命と社会を守護する宇宙の諸事象の働きをいうのです。その諸天善神の働きは私たちの生命と別に、それ自体の意思をもって存在しているものではありません。私たちの生命の力、一念の働きが社会や環境などの依報のうえに反映し、それがさまざまな働きとして顕われてくるのです。
教学の基礎 創価学会教学部編より
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これでもおわかりのように、仏の生命といってもたえず魔との闘争が必要ですし、その時の一念によって依報である環境も良い方の諸天善神と顕われたり、悪い方の第六天の魔王と顕われたりするのです。たえず、唱題行によって心の一念を仏の生命に保っていく必要があるのです。そうすれば環境も善い方向へ必ず変わります。
その辺の絶妙な加減を説明して下さっているのが、以下の「新・人間革命」3巻仏陀の章の部分です。
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大宇宙も、時々刻々と、変化と生成のリズムを刻んでいる。人間もまた同じである。幼き人も、いつかは老い、やがて死に、また生まれる。いな、社会も、自然も、ひとときとして静止していることはない。その流転しゆく万物万象は、必ず何かを縁として生じ、滅していく。何一つ単独では成り立たず、すべては、空間的にも、時間的にも、連関し合い、「縁りて起こる」のである。
そして、それぞれが互いに「因」となり、「果」となり、「縁」ともなり、しかも、それらを貫きゆく「生命の法」がある。
釈尊は、その不可思議な生命の実体を会得したのであった。彼は、自身が、今、体得した法によって、無限に人生を『開きゆくことが確信できた。迫害も、困難も、逆境も、もはや風の前の塵にすぎなかった。
彼は思った。
“人はこの絶対的真理を知らず、自分は単独で存在しているかのように錯覚している。その錯覚が、結局は人間を欲望の虜にし、永遠不変の真理である「生命の法」から遠ざけてしまう。そして、無明の闇をさまよい、苦悩と不幸に沈んでいく。
しかし、その無明とは、自身の生命の迷いである。まさしく生命の無明こそが諸悪の根源であり、生老病死という人間の苦悩をもたらす要因にほかならない。
ゆえに、この迷い、無明という己心の悪と対決するところから、人倫の道、崩れざる幸福の道が開かれるのだ!
「新・人間革命」仏陀の章 182ページ
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彼は悩み、迷った。魔は、仏陀となった釈尊に対しても、心の間隙を突くようにして競い起こり、さいなみ続けたのである。
「仏」だからといって、決して、特別な存在になるわけではない。悩みもあれば、苦しみもある。病にもかかる。そして、魔の誘惑もあるのだ。ゆえに、この魔と間断なく戦い、行動し続ける勇者が「仏」である。反対に、いかなる境涯になっても、精進を忘れれば、一瞬にして信仰は破られてしまうことを知らねばならない。
「新・人間革命」仏陀の章 185ページ
*******************************これらのことから、自分の身の回りに起こる悪いことも、過去の三業から追い来った自分と縁して起こっている事象であり、これが分かってしまえば、禍が多きければ大きいほど、業をつぐなっていることもまた大きく、幸いを引き寄せていることを感じることができ、いよいよ精進(ここでまた悪業の因をつくると悪循環に!)をすることによって、逆境を成功の素に、大悪を大善に、宿命を使命に変えることが可能であることがわかるかと思います。さあ、今が逆境であるからこそ、使命に変える戦いができていると感じながら、今日もまた一歩前進を!
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