2016年5月15日日曜日

「新・人間革命」7巻 操舵の章

伸一が海外から帰国するほんの数日前、ここ日本では、新潟でドラマが生れていた。1963年1月24日、後に「三八豪雪」と言われる記録的な被害により総本山から新潟に帰るメンバーが109時間も帰宅に時間を要したのだ。長岡の友が支援に走る。信仰の力を証明するように、騒動が起こることも多かった他の場所に比べ、学会員の乗った団体列車は整然としていた。台湾の同志にも、試練が押し寄せる。35歳の青年会長、山本伸一の舵取りはますます難しさを加えていったのだった。



冷戦下にある中で、核兵器について、

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核兵器を正当化していたのが、いわゆる核抑止論であった。つまり全面核戦争になれば、人類が滅びるかもしれないという恐怖が、戦争を“抑止する”というのである。
しかし、人類の生存の権利を“人質”にとり、その恐怖を前提としたこの思考こそが、“魔性の爪”を育んでいるといってよい。

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その流れの底には、「相互不信」「疑心暗鬼」という、暗い深淵が横たわっている。この深淵を埋めるのは、各国の最高指導者の、胸襟を開いた語らい以外にない

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権力について、

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いかなる男性幹部の言葉なりとも、学会指導に反した、感情、利害、利用等の話であった場合は、断じて聞く必要もなければ、むしろ厳しく戒めあっていく、強き強き婦人であっていただきたいものである。

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戦わずしては、人権は守り抜けない

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権力の魔性と命をかけて戦おうとせず、民衆を守りきれぬ政治家であれば、民衆を自分の選挙のために利用し、踏み台にしているだけにすぎません。それ自体が、既に自らが権力の魔性に同化した姿であります。

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日蓮大聖人は『今の世間を見るに人をよくなすものはかたうどよりも強敵が人をば・よくなしけるなり』と仰せだ。
広宣流布を破壊しようとする大悪人と、また、魔性の権力と戦い、勝てば、成仏することができる。ゆえに大聖人は、方人、つまり味方よりも、強敵が人をよくすると言われているのだ。大難の時に、勇気を奮い起こして戦えば、人は強くなる。師子になる!

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日本は高度経済成長の時代に入り、経済的に豊かになるにつれて、青年層にも拝金主義の風潮が強まっていった。そして、本来、生き方の最も大事な基準となるべき「善悪」や「正邪」に替わって、物質的な豊かさや恰好のよさが、判断の尺度になろうとしていた。
その風潮こそが、「悪」を温存させ、政治権力の横暴や腐敗をもたらす土壌を形成しつつあった。

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政治権力だけではありません。明日勝負することになる会社権力もそうですし、あらゆる次元の権力が拝金主義に成り下がっているのが末法です。

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御書に『教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ』と仰せのように仏法とは、人間の生き方の究極を説いたものである。
したがって、人として、いかなる行為、振る舞いをなすかが、仏法者として最も大切な問題となる。

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台湾を襲った試練について、

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この試練は、それぞれの信仰が、ホンモノなのか、ニセモノなのかを明らかにしていった。名聞名利の心をいだいて信心をしていた者は、迫害を恐れて、次々と退転していったのである。

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そう難こそ誉れだ。ニセモノを淘汰してくれるからだ。さあ、明日も重要な決戦だ。


しかし、いかに波浪は激しく、嵐は猛るとも、人間の勝利の旗を打ち立てるために、伸一は新世紀の大陸に向かって、必死になって舵を操るしかなかった。
三十五歳の青年会長の操舵に、広宣流布のすべてはかかっていたのである。

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