今日は2回も書き込むことになります。頭の中で回転したものが、今この時に書こうよと伝えてきてくれているからです^^
今日は、「フロー状態」と一般的に言われているハイな状態について、色々とずっと思考を巡らしていました。学習を川の流れに1回目に例えたからでしょうか。
ランナーズハイ、クライマーズハイ etc.でこの世界の有名な研究者のその名もミハエル・チクセントミハイなんてね。
ここ↓で紹介されている同研究者の本「フロー体験 喜びの現象学」は下記紹介ブログによると子供の教育論にも及んでいるようなので学問の幅を広げるべく今後の購入リストに入れること決定。
http://blogs.itmedia.co.jp/yasuyasu1976/2011/11/post-66a9.html
おなじみの茂木健一郎氏もやはり、フロー状態は興味深いテーマのようです。↓
http://www.yomiuri.co.jp/running/kataru/20140324-OYT8T00427.html
上記の記事から端的にまとめると(本購入後はもっとじっくり再考しますが)、100%そのことに意識が行っていて脳内神経伝達物質の快楽物質であるドーパミンがでまくり、課題と技術が右肩上がりの状態にあることのようです。
すなわち、自分でできるという自信に技術が追従してあらゆることがスローに感じるようによく分かっている状態。だから、スポーツに限らず、仕事でも作文でも、あらゆる技術を伴う作業には起こりうる状態で、皆さんも一度は経験されたことがあるんじゃないでしょうか?
「フロー状態」とは別名に「ゾーンに入る」とか「忘我」、「エクスタシー」とかもっと文学的には「神来の興」と言われるようなもの。この神がかり的な能力が芽生える状態を的確に表した作品として、つい最近も芥川龍之介氏の著作であり、南総里見八犬伝の著者である滝沢馬琴をモチーフにした「戯作三昧」を読み直してほとほと関心しておりました。何かを機縁にしていきなりやってくるところが味噌のようです。
ここでは孫の無垢な忠言を機縁にしてさっきまで暗い気持ちで何も手つかずだった馬琴に創作エネルギーが湧く渾身のシーンの抜粋です。一気に読み下して下さい。
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馬琴の心に、厳粛な何者かが刹那に閃いたのは、この時である。彼の唇には幸福な微笑が浮んだ。それと共に彼の眼には、何時か涙が一ぱいになった。
(中略)
始め筆を下ろした時、彼の頭の中には、かすかな光のようなものが動いていた。が、十行二十行と、筆が進むのに従って、その光のようなものは、次第に大きさを増して来る。経験上、その何であるかを知っていた馬琴は、注意に注意をして、筆を運んで行った。神来の興は火と少しも変りがない。起す事を知らなければ、一度燃えても、すぐに又きえてしまう。・・・・・・
「あせるな。そうして出来るだけ、深く考えろ。」
馬琴はややもすれば走りそうな筆を警めながら、何度もこう自分に囁いた。が、頭の中にはもうさっきの星を砕いたようなものが、川よりも早く流れている。そうしてそれが刻々に力を加えてきて、否応なしに彼を押しやってしまう。
彼の耳には何時か、蟋蟀の声が聞えなくなった。彼の眼にも、円行燈のかすかな光が、今は少しも苦にならない。筆は自ずから勢いを生じて、一気に紙の上を辷りはじめる。彼は神人と相搏つような態度で、殆ど必死に書きつづけた。
頭の中の流れは、丁度空を走る銀河のように、滾々として何処からか溢れて来る。彼はその凄まじい勢いを恐れながら、自分の肉体の力が万一それに耐えられなくなる場合を気づかった。そうして、緊く筆を握りながら、何度もこう自分に呼びかけた。
「根かぎり書きつづけろ。今己が書いている事は、今でなければ書けない事かもしれないぞ。」
しかし光の靄に似た流れは、少しもその速力を緩めない。反って目まぐるしい飛躍の中に、あらゆるものを溺らせながら、澎湃として彼を襲って来る。彼は遂に全くその虜になった。そうして一切を忘れながら、その流れの方向に、嵐のような勢いで筆を駆った。
この時彼の王者のような眼に映っていたものは、利害でもなければ、愛憎でもない。まして毀誉に煩わされる心などは、とうに眼底を払って消えてしまった。あるのは、唯不可思議な悦びである。或いは恍惚たる悲壮の感激である。
(後略)
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この一気に書き下ろしたであろう芥川氏の心持こそが、我々が学問やスポーツ或いは仕事をしたくなる醍醐味ではないだろうか。私も仕事で忙殺中に疲れがふとなくなり、時間がゆっくりと流れ出す気持ちのよい瞬間が来るのを利用することがある。まさにこの状態にあるのだろう。
すごく、気持ちいいですよね。こんな膨大な仕事がもう終わったの?というあっという間にできてしまったあの感覚。
これはすごく研究すると面白いと思います。ミハエル・チクセントミハイ氏の研究上のハイな状態に感謝。
子供たちが知識を詰め込むのではなく、知識得る悦びを学ぶ方法にこのフロー状態を活かせたら、今の暗記重視の教育に革命がおこると思いますよ。
生涯学習として、このフロー状態を出しやすくするために、いかなる世代にもその時々で必要な学びがあることを教えてくれているのではないでしょうか?
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