2016年4月28日木曜日

経済は、人類を幸せにできるのか? その①

その前に、昨日の「雅量」について、リーダー論を述べた私の師匠の言葉を紹介したい。

「後輩に対しても、自分以上の力をつけさせていける、雅量のあるリーダーでなければならない。それには、まず率先垂範だ。その姿、行動が、真実の触発をもたらしていくことは間違いない。ただ命令したり文句を言うだけの、権威主義の人物の下では、人は決して育たない。」

職場の経営陣に贈りたい言葉ですね。私が身を置いてつくづく感じる権威主義、拝金主義の世の中です。

仏法では、きちんと末法のこの時代のことが明かされています。

闘諍言訟(とうじょうごんしょう)」・・・争いや論争が絶えない

と。


「社会を正しくリードすべき人間が、自分のことしか考えない。相手が強ければへつらい、弱いと見れば脅し、いじめる―今の時代も同じである。」

これも師匠が今の顛倒した時代を明確に表現した言葉です。






それでは、私が最近出会った経済の良書。ダニエル・コーエン氏「経済は、人類を幸せにできるのか?」を繙いていきたいです。

第1章では、現在の経済を牛耳っている考え方に疑問を投げかけます。面白い例えがいくつも書かれているのが本書のいいところです。





「献血」がありますよね。通常、人の善意で成り立つこの行為を、もっと人を集めるために報奨金を出すことにしたらどうなったと思いますか?







答えは減った!!のです。



これは現在の経済の考え方とは真逆の解です。


何故なら、現代の経済の役割とは、自分の幸福を最大化させようとする合理的な人間(ホモ・エコノミクス)たちによって競争原理が働き、利用可能な希少な財が効率良く配分されること


だからです。なぜ競争になり、安い血液が多く手に入らなかったのでしょうか?




解答は・・・・

人間の持つもう一つの非合理的な力である善意、共感力、協力しようとする力を無視しているからです。人間だけでなく、実はダーウィンはその他の種にも協力し合う特徴を指摘しているとのこと。不完全な理論で成り立っているのです、現在の経済は。

「献血」の例で言えば、報酬目当てでない人たちが献血するのをやめてしまったから減ったのです。代りに合理的な現在の大企業に巣食っているような人たち、ホモ・エコノミクスなる人種がやってきたのです。


このことは、これからの経済の変わるべき明るい未来が示唆されていると思いませんか?



そうです。見落としている前者からなる集団の方が実は多いのではないかということです。減ったということは前者の方が実は世界には多いともいえないでしょうか?

今、世界を偽経済で席巻しているホモ・エコノミクスなる人種はホモ・サピエンスのほんの一握りの人種であり、駆逐はしないまでも共存共栄は可能でしょう。




私はここまで考えが及んだ時、もうこの本を手にしてよかったなと思いました。良書とはそんなものです。

次はいよいよ第二章、労働組織についてです。わくわくしてたまりませんね。どれだけホモ・エコノミクスたちによってひどいことになっているか、言われなくても身を置いていて実感していますが、うんそうだそうだと思いながら読み進めたいですね。すごい本だ!


ちなみに、今はやりのトマ・ピケティ氏の本は読んでいないのですが、その先生のようですよ。ダニエル・コーエンという人は!

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